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- 初回投稿日:2023/11/25
- 更新:2025/6/22
原油価格の上昇は、石油開発をはじめとする資源関連企業にとって大きな経済的メリットとなります。エネルギー価格の高騰は非鉄金属などの市況上昇にもつながり、広く資源セクター全体を押し上げる要因となります。
また、原油高は中東やロシアといった産油国の経済を潤し、それに伴い石油開発やプラント関連企業への設備投資や受注の増加が期待されます。
近年では中東情勢の不透明感から、原油価格が高止まりする傾向にあり、こうした「原油高メリット関連銘柄」への投資関心も高まっています。
今回は原油高メリット関連銘柄の中から注目の本命株、出遅れ株などの動向をまとめてご紹介いたします。
原油高がプラスに働く業種
原油価格が上昇すると、多くの業種にとってコスト増加などのマイナス要因となりますが、その一方で、原油高が追い風となり、経済的なメリットを享受する業種も存在します。特に恩恵を受けやすいのが、石油開発や資源関連の企業です。
石油や天然ガスの採掘・生産を行っている企業は、原油価格が上昇することで、そのまま売上や利益の増加につながります。なぜなら、採掘や輸送にかかるコストがある程度一定であれば、販売価格の上昇によって収益率が高まるからです。原油1バレルあたりの利益幅が広がることで、企業全体の業績が押し上げられます。
また、原油価格が高水準で推移する状況では、世界中の産油国やエネルギー関連企業が新たな油田開発や設備投資に積極的になります。このような投資活動の活発化によって、石油掘削機械を製造する企業や、エンジニアリング会社、プラント建設会社などにも仕事が増え、関連する産業全体が潤います。つまり、原油高は直接的な産油企業だけでなく、間接的に関わる多くの企業にとってもビジネスチャンスとなるのです。
さらに、原油高は非鉄金属や天然ガスなど、他のエネルギー資源や資源全般の価格にも影響を与える傾向があります。たとえば、エネルギー価格の上昇が鉱山の採算性を改善し、非鉄金属の需給にも波及すれば、商社や鉱山会社などにもプラス材料となります。
また、原油を輸出する中東諸国やロシアなどの産油国は、原油収入の増加により財政が潤い、インフラ整備や都市開発などに多額の資金を投じることがあります。その際、日本を含む海外のプラント企業や建設関連企業が受注を得るケースも多く、原油価格の上昇がグローバルな経済活動を後押しすることもあります。
最近では中東情勢の不安定さや、供給不安に対する警戒感から、原油価格が高止まりする傾向にあります。こうした環境では、原油高の恩恵を受ける「資源高メリット銘柄」への関心が市場でも高まっています。投資の視点からも、どの業種が原油価格に対して強いかを把握することは、今後の経済動向を見通すうえで重要だといえるでしょう。
原油高メリット関連銘柄の本命株
原油高メリット関連銘柄の本命株としては、などが挙げられます。
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
1605 | INPEX | 原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。 |
1963 | 日揮ホールディングス | 総合エンジ国内首位。海外でLNGや発電等プラントを手がける。 |
5019 | 出光興産 | 石油元売り2位。石油化学や原油・石炭開発も。 |
5020 | ENEOSホールディングス | 国内シェア5割の石油元売り首位。 |
5021 | コスモエネルギーホールディングス | 石油元売り大手を傘下に置く持株会社 |
8031 | 三井物産 | 三井グループ中核の総合商社。鉄鉱石権益生産量は国内断トツ。 |
8058 | 三菱商事 | 総合商社大手。三菱グループ中核。 |
原油高メリット関連銘柄 本命株 INPEX(1605)

INPEX(1605)は、日本最大の石油・天然ガス開発企業で、原油高の恩恵を最も直接的に受ける銘柄の一つです。原油価格が1ドル上昇すると利益が約60億円増えるとされ、価格上昇が業績に直結します。豪州のLNG事業「イクシス」も主力で、エネルギー価格高騰時に収益が拡大しやすい構造です。加えて、地政学リスクによる原油高にも敏感に反応し、株価が上昇しやすいのが特徴です。配当や株主還元にも積極的です。
原油高メリット関連銘柄 本命株 日揮ホールディングス(1963)

日揮ホールディングス(1963)は、原油高局面において石油・LNGプラント建設を主力とする総合エンジニアリング企業として大きな恩恵を受けます。中東や北アフリカでの大型案件獲得実績が豊富で、原油価格上昇による設備投資需要の拡大が収益に直結します。また、LNGに加え合成燃料(SAF)や廃プラ・廃繊維のリサイクル設備など新領域への展開を進めており、原油高と脱炭素を追い風に多角化成長できる点が特色です。
原油高メリット関連銘柄 本命株 出光興産(5019)

出光興産(5019)は、国内第2位の石油元売りで、原油高局面では在庫評価益が増え、精製マージンも拡大しやすいため恩恵を受けやすい企業です。加えて、昭和シェルと統合され供給体制が強化されており、脱炭素関連では有機EL材料など高機能材事業にも注力し、中長期の成長余地も大きい点が特色となります。
原油高メリット関連銘柄 本命株 ENEOSホールディングス(5020)

ENEOSホールディングス(5020)は、国内最大の石油元売企業として、原油高局面で特に強みを発揮します。原油価格上昇により在庫評価益が膨らみ、精製・燃料販売マージンも改善しやすいため業績に直結します。加えて、石油・ガス開発や金属事業、再生エネルギーへも多角展開しており、グループ全体で原油高を追い風に収益拡大が期待できます。直近決算では在庫評価益を除く営業利益が約3,932億円に達し、強固な収益力を示しています。また、中期経営計画では安定配当と株主還元の姿勢も明確にされています。
原油高メリット関連銘柄 本命株 コスモエネルギーホールディングス(5021)

コスモエネルギーホールディングス(5021)は、原油高により在庫評価益が増加し、製品マージンにも遅行益が生じるため、業績へのプラス効果が大きい石油元売の代表銘柄です。加えて、石油開発事業も展開しており、原油価格上昇に伴う収益拡大に貢献しています。3期連続増配中で配当利回り5%超と高水準、株主還元の姿勢も強く、原油高メリットをダイレクトに享受できる点が大きな特色です。
原油高メリット関連銘柄 本命株 三井物産(8031)

三井物産(8031)は、エネルギー分野への権益保有が豊富で、原油や天然ガスの開発・生産・トレーディングに強く、商社内でも生産権益量が突出しています。そのため、原油価格の上昇は収益に直結し、2022/23年度にはエネルギー価格高騰が要因となり純利益が約24%増の1.1兆円となりました。さらにLNGプラントへの出資や米国でのエネルギーロジスティクス事業展開も進め、収益の安定化と拡大を図っています。原油高が業績押し上げの鍵となり得る銘柄と言えます。
原油高メリット関連銘柄 本命株 三菱商事(8058)

三菱商事(8058)は、原油高で特に恩恵を受ける総合商社の代表的銘柄です。原油・天然ガスの開発・生産権益を豊富に保有し、銅や鉄鉱石など資源全体の価格高騰が収益を押し上げる構造になっています。2023年度はエネルギー価格急騰の追い風で、過去2番目の純利益を達成し、LNGや金属資源への投資も積極的です。さらに、中期的にはクリーンエネルギーや資源ポートフォリオの強化を進めており、原油高下でも収益の安定と成長を両立できる体制が整っています。
原油高メリット関連銘柄の出遅れ株
原油高メリット関連銘柄の出遅れ株としては、などが挙げられます。
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
1514 | 住石ホールディングス | 住友石炭が母体。国内炭撤退、豪州炭鉱の配当金が利益柱。 |
1662 | 石油資源開発 | 原油・ガス開発専業。国内の天然ガス田操業が基盤。 |
5017 | 富士石油 | 石油精製専業で業界中堅。原油開発のアラビア石油と精製の富士石油が統合。 |
6269 | 三井海洋開発 | FPSO(浮体型生産貯蔵積出設備)の設計・建造。 |
6330 | 東洋エンジニアリング | 石油・石化プラント、火力発電プラントなどの設計・建設・エンジニアリング |
6366 | 千代田化工建設 | 三菱商事系の総合エンジで国内2位。LNGに強み。 |
7375 | リファインバースグループ | 産業廃棄物処理と再生樹脂製造販売が柱。 |
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 住石ホールディングス(1514)

住石ホールディングス(1514)は、原油高というより主に石炭を扱う企業ですが、エネルギー価格全般が高騰する局面では「原油高メリット関連株」としても注目できます。豪州からの輸入炭を主力としており、原料調達コストが相対的に有利になるため、在庫評価益や採算が改善しやすい体質です。また、堅実な財務基盤を維持し、配当性向の引き上げと大幅増配を実施した実績があることから、収益性と株主還元の両面で魅力的です。石油高の影響が間接的ではあるものの、資源全体の価格上昇が追い風になる銘柄と言えます。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 石油資源開発(1662)

石油資源開発(1662)は、原油・天然ガスの探鉱・開発・生産を主力とする企業で、原油高局面で特に恩恵を受ける「原油高メリット関連株」です。原油やガスの販売量が増えると収益が直結し、2025年3月期は売上高が約19.4%増の3,890億円、営業利益も12.2%増の620億円を達成しました。また、同社はLNGや海底資源、GTL(ガス・トゥ・リキッド)、CO₂回収・貯留技術を含む多角的な資源開発に取り組んでおり、ESG対応と連動した長期的な成長も期待されます。さらに、2023年には増配を実施し、高水準の配当利回り(7%超)を実現しており、投資家には魅力的な株主還元姿勢もアピールポイントです。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 富士石油(5017)

富士石油(5017)は、中堅の石油精製販売企業で、原油高局面では在庫評価益が拡大し、製品の販売マージンに好影響が出るため、業績に直接的な恩恵を受けやすい「原油高メリット関連株」と言えます。原油開発からは撤退したものの、出光興産の持分会社として安定的な精製・販売体制を維持している点も強みです。さらに、配当利回りが約4%と高水準で、株主還元にも積極的な姿勢が魅力となっています。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 三井海洋開発(6269)

三井海洋開発(6269)は、浮体式海上石油・ガス生産設備(FPSO等)の設計・建造・リース・運用を手がける企業で、原油価格が高騰するとFPSOへの需要が増加し、業績拡大に直結します。実際、NY原油相場の急騰時には株価が上場来高値を更新した例もあり、地政学リスクによる原油高にも敏感に反応します。南米ガイアナや中東などで大型案件を獲得しており、脱炭素やDX技術との相乗効果も期待される注目銘柄です。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 東洋エンジニアリング(6330)

東洋エンジニアリング(6330)は、原油高局面でプラント関連の受注増が期待できる総合エンジニアリング企業です。特に中東・アフリカ・ロシア・CISなどで石油・ガスや石油化学設備の設計・建設案件を多く手がけ、原油価格の高止まりが設備投資を促進する中で安定的な受注機会が豊富です。加えて、アンモニアやCO₂回収など脱炭素関連分野にも注力しており、原油高を追い風とした多角的な成長基盤を備えているのが特色です。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 千代田化工建設(6366)

千代田化工建設(6366)は、原油高により石油・天然ガスやLNGプラントの受注が増えやすい総合エンジニアリング企業です。特にLNG案件に強みがあり、中東や北米などでの大型プロジェクト実績が豊富です。近年は水素・アンモニアなど次世代エネルギー分野にも注力しており、原油高と脱炭素の両面から追い風を受ける体制が整っています。
原油高メリット関連銘柄 出遅れ株 リファインバースグループ(7375)

リファインバースグループ(7375)は、産業廃棄物の再資源化を通じて合成樹脂を製造・販売する企業で、原油高局面での恩恵を受けやすい「原油高メリット関連株」の一つです。原油価格が上昇するとバージン(石油由来)樹脂のコストも増大しますが、同社が提供する再生樹脂はコスト優位性が高まり、需要拡大につながります。独自のケミカルリサイクル技術で廃漁網・カーペットなどを再生し、素材市場で独自ポジションを築いている点も強みです。また、CO₂削減やトレーサビリティなどSDGs対応の面でも評価され、石油高+ESGトレンドの両方から追い風を受ける構造が特色です。
原油高メリット関連銘柄まとめ
原油高の原因には、中東情勢などの地政学リスク、世界的な需要の回復、OPECプラスによる減産、為替相場の影響、投機資金の流入などが複合的に影響しています。
これらのニュースなどをこまめにチェックすることで、原油高メリット関連銘柄がどのように反応するか確認できるかと思いますが、様々な要因であったり主に海外要因であったりもするので、大きく報道されないと調べるのも結構大変ではあります。
こうしたテーマ株は日本経済新聞やヤフーニュースなどでの報道内容や、時事ネタが刺激材料となってきたりしますが、早い段階から注目しておきたいところではないでしょうか。
しかしながら、どの企業がどういうテーマ性に絡み、注力している事業がどれぐらい成長し業績を伸ばしてきそうなのか、銘柄を個別で調べ分析していくのも骨の折れる作業です。
サラリーマン投資家や主婦をしながら株取引を行われている方など、なかなか銘柄を個別に調べたりしている時間を取れないでいる人が殆どではないでしょうか。
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