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- 初回投稿日:2021/2/15
- 更新:2025/1/14
「ドローン」とは、遠隔操作や自動制御により飛行する、操縦手の搭乗していない無人航空機のことで、飛行機やヘリコプターなど、人が乗って操縦するのを「有人航空機」と言うのに対し、人が乗らずに外部から操縦する機体」=「ドローン(無人航空機)」といった感じでしょうか。
ドローンを活用した業務効率化やサービスの高度化などの動きが、近年急速に広がりを見せていることから、ドローン関連銘柄は投資家としても目が離せないテーマ株と再びなりつつあります。
今回は今注目しておきたいドローン関連銘柄の本命株・出遅れ株などの注目株の動向をまとめてご紹介いたします。
ドローンが注目される理由
「ドローン」と聞くと空中撮影を行えるカメラ付き小型ドローンを思い浮かべる方が多いかと思いますが、ドローンは農薬や肥料散布に使用する「農業用ドローン」や、配送・宅配をドローンで行う「物流用ドローン」など、「産業・商業用ドローン」の開発が色々と行われてきています。
これまで、次世代技術開発プロジェクト「Google X」からAlphabet(アルファベット)の独立した事業となったドローンによる配送サービス「Project Wing」や、米アマゾン社が開発を進めるドローン宅配便「Amazon Prime Air」などが世界的な話題となってきていますが、日本においても経済産業省が「空の産業革命に向けたロードマップ」を取りまとめ「物流」「災害対応」「インフラ維持管理」「測量」などにドローンを運用できるよう取り組まれてきています。
インプレス総合研究所が国内のドローンビジネス市場の動向を調査し、ドローンビジネスに関する調査結果をまとめた新産業調査レポート『ドローンビジネス調査報告書2024』によると、2023年度における日本国内のドローンビジネスの市場規模は、前年度比23.9%増となる3854億円と推測しています。2024年度には前年度比21.5%増の4684億円に拡大し、2028年度には9054億円に達すると見込まれるとしており、これは年間平均成長率(2023年度~2028年度)に換算すると、年18.6%増加することになります。
しかしこの数値はあくまでビジネス的な側面を重視したもの。今、ドローンが注目されている最大の理由はズバリ、「軍事用ドローン」です。
軍事用ドローンとは
「軍事用ドローン」とは、文字通り軍事用に使用するためのドローンをさしており、軍事作戦において遠隔操作で運用される無人航空機(UAV)のこと。人命を危険にさらすことなく敵を攻撃できる手段として、偵察や索敵、攻撃などさまざまな用途で使用されています。
2022年から今なお続いているロシアによるウクライナへの軍事侵攻でもお互いに大規模なドローン攻撃を行っており、ロシアは2024年はじめ、FPVドローンの搭載プロセッサーにAI(人工知能)を組み込んで人間などの輪郭を認識できるようにし、多くの操縦士にとって照準を合わせるのが最も難しいタイミングである飛行の最後の数秒に、目標に向けて自動操縦できる新技術を導入。対しウクライナ軍もAIによる新兵器「AI誘導FPVドローン」を使用したことも話題となりました。
市場調査会社のFortune Business Insightsによると、軍用ドローンの市場規模は、2023年に141億4000万米ドルと評価されているとしています。また市場は2024年の160億7000万米ドルから2032年までに471億6000万米ドルに成長すると予測されているとしており、この推移を見ると、将来的にドローンの市場規模を軍用が占めるようになってくるかもしれません。
ここ日本においても、防衛省が、侵攻してきた敵の車両や舟艇を撃破する小型攻撃用無人機(ドローン)を令和8年度に約310機導入する方針を固めたことが報じられています。防衛省は7年度予算案に小型攻撃用ドローンの取得費として32億円を計上。陸上自衛隊の普通科部隊に配備し、南西諸島などでの対処力を高める狙いがあるとして、今後、既存の戦闘・偵察ヘリコプターをドローンに置き換える方針であるとされていることから、軍事用ドローンの需要は日本でも拡大していきそうです。
ドローン関連銘柄の本命株
もちろん軍事以外でもインフラ点検や測量分野など様々な用途での利用が期待されているので、ドローン市場への参入している日本株も十分注目されるはず。そもそも日本は、物流の2024年問題や生産年齢人口の減少に伴う労働力不足、地域の過疎化・高齢化など、さまざまな社会課題を抱えており、これらの解決に向けた一手段としてドローンの活用が期待されています。
そんな中、ドローンに関するハード・ソフト・サービスを組み合わせたソリューションの提供や、ドローンの運航管理などの事業を展開するベンチャー企業のTerra Drone(278A)が2024年11月に新規上場したことも、ドローン関連株が注目される要因を与えていると言っても大げさな話ではありません。
ドローン関連銘柄 本命株 Terra Drone(278A)
Terra Drone(278A)は測量・点検・農業等におけるドローンを含むハード・ソフトの開発及びサービスの提供、安全かつ効率的なドローンや空飛ぶクルマの運航を管理するためのシステム(UTM)の開発・提供を行っています。
世界的なドローン市場調査機関であるDrone Industry Insightsが世界の約900社におよぶドローンサービス企業の情報を基に集計した「ドローンサービス企業 世界ランキング2024」にて、産業用ドローンサービス企業として世界1位を獲得。中長期的にはドローン・空飛ぶクルマ業界全体で世界No.1を目指すとしています。
ドローン関連銘柄 本命株 ACSL(6232)
ACSL(6232)は自律制御システム研究所『ACSL』(6232)は上場している唯一のドローン専業企業で、輸送・物流、測量・点検、防災など専用のドローンを開発から生産、販売まで行っています。
小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」は不定期ながらも大型案件を受注することがあり、業績に直結することも。直近では、2024年12月に環境フレンドリーホールディングスと、再生可能エネルギー施設におけるリアルタイム監視・保守の実現に向け提携を行うことを発表しています。
ドローン関連銘柄 本命株 イメージ ワン(2667)
イメージ ワン(2667)は衛星画像販売、医療画像システムを手掛けていますが、培った技術力を活かしドローンで計測したデータの画像処理を行いインフラ設備点検サービスを行っています。
他にもアメリカmicrodroens社のドローンの販売取り扱いを行っており、ドローン関連銘柄として度々注目されてきている銘柄です。
ドローン関連銘柄 本命株 菊池製作所(3444)
菊池製作所(3444)は工作機械、ロボットの設計・制作を行っていますが、2019年より中型タイプとなる国産製ドローンの量産も行っています。
2024年には子会社イームズロボティクスがこの日、内閣府が進める「先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業」に採択されたと発表。同事業は、2024年6月に指定した「連携“絆”特区」において、共通の課題を抱える自治体が連携して、規制・制度改革により地域が抱えるさまざまな課題に対応するというもの。イームズロボを代表者とする企業グループは、福島県及び長崎県で持続的なドローン配送サービスの実現「レベル4飛行でのオンデマンド配送の実現に向けた調査」を実施し、エリア単位での許可・承認の取得に向け、複数のリスクの異なるエリアを想定し、求められる安全対策やリスクアセスメントなどの検討を行うとしています。
ドローン関連銘柄 本命株 オプティム(3694)
オプティム(3694)は2021年2月にNTT東日本などとドローン関連事業の新会社「NTT e-Drone Technology」を設立。「NTT e-Drone Technology」は農業分野に進出しドローンを使っての農薬や種の散布、画像を使っての計測などを行います。
2024年には無人航空機(UAV)搭載型レーザスキャナ(LiDAR)メーカーであるYellowScan1社のLiDARを搭載可能な国産測量ドローン「EC101 connect YellowScanモデル」の提供を開始。他にも鳥獣害対策ドローンを活用した提案が神奈川県の「ドローン実証実験支援事業」に採択されたり、アジア航測と連携し、災害時を想定した砂防堰堤(えんてい)の被災状況確認に対し、ドローン活用の効果検証を実施するなどいくつかの用途においてコンスタントに開示・発表がなされています。
ドローン関連銘柄 本命株 ブルーイノベーション(5597)
ブルーイノベーション(5597)は複数のドローンやロボット、センサーなどのデバイスを遠隔で制御・統合管理する統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP:ベップ)」を独自開発。それを活用したサービスを展開しています。
直近では2024年12月、いであ(9768)と戦略的業務提携に関する覚書を締結したと発表。両社はドローンやロボティクス技術を活用した新たなソリューションの開発・提供を進め、公共インフラ維持管理の効率化や災害時対応力の向上を目指すとしています。
ドローン関連銘柄の出遅れ株
ドローン関連銘柄の出遅れ株は、これから注目されそうな銘柄や、過去に物色され現在は落ち着いているような銘柄なども含めいくつかありますが、国産の点検・測量ドローン開発を行うLiberaware(218A)や、日本アビオニクス(6946)、セーフィー(4375)やソニーグループ(6758)あたりは注目かもしれません。
ドローン関連銘柄 出遅れ株 Liberaware(218A)
Liberaware(218A)は世界最小級のドローン開発、ドローンで収集した画像データを解析し顧客に提供するインフラ点検・維持管理ソリューションを行っています。直近では2024年に狭小空間点検ドローン「IBIS」が、韓国政府機関が募集する「ドローン活用検査導入プロジェクト」に、大規模ボイラーの効率的な点検ツールとして採用されています。
ドローン関連銘柄 出遅れ株 日本アビオニクス(6946)
日本アビオニクス(6946)は情報処理システム関連機器、防衛用電子機器の製造・販売などを行っています。2022年にドローン搭載用赤外線サーモグラフィの実証実験を開始。建物やインフラなどの劣化を調査するためにサーモカメラをドローンに搭載する検討を進めており、2024年の社長のインタビュー記事ではドローン搭載型サーモカメラを発売する予定があることをあかしています。
ドローン関連銘柄 出遅れ株 セーフィー(4375)
セーフィー(4375)はクラウド録画型の映像プラットフォームを開発・運営を行っています。ドローンのカメラ映像をリアルタイムに伝送できるHDMI出力対応ルータ「Safie Connect」があり、インフラ点検や公共機関、建築・土木、災害現場などでの活用が増えているドローンのカメラ映像をリアルタイムに伝送できることから、間接的に関連株として物色されることもあるかもしれません。
ドローン関連銘柄 出遅れ株 ソニーグループ(6758)
ソニーグループ(6758)は本来、本命株として扱うべきかもしれませんが、テーマ性の多い銘柄は単一のテーマで物色されにくい傾向もあるのでこちらに。2024年には垂直離着陸型固定翼(VTOL)ドローン「新型エアロボウイング(AS-VT01K)」が、レベル3及びレベル3.5飛行のうち事前申請なしで目視外飛行ができる機体の認証を国土交通省から取得。人がいない川や森林などで飛行可能で、VTOL型ドローンとして同認証の取得は国内で初となります。
一方でドローン「Airpeak S1」の販売を2025年3月末をもって販売終了することを発表。ドローン事業とAirpeakブランドの終了ではないしていますが、方向性が変わっていくのでしょうか。
ドローン関連銘柄の本命株・出遅れ株を上手く狙いたい人は
急成長が期待される市場で、過去にはテーマ性を強め急騰した経緯のあるドローン関連銘柄ですが、国産ドローンが注目されてくることで再びテーマ性を強め盛り上がりをみせてくるかもしれません。
政府が中国製ドローンから国産ドローンにシフトする方針を示してきているので、ドローン関連銘柄は再び物色人気を強めてくる前にしっかりと抑えておきたいテーマ株ではないでしょうか。
テーマ株は買いで入るタイミング、銘柄選定が重要ですが、こうしたテーマ株は人気の株情報サイトで取り上げられることで盛り上がりをみせてきたりするので、人気テーマに絡んだ本命株・出遅れ株を上手くトレードしていきたいと思われる方は、その時々で注目の旬なテーマ性に絡んだ銘柄情報などを配信してきているサイトを日々チェックしておくことをお勧めします。