AIの活用範囲が急速に拡大する中、米マイクロソフトが英アームホールディングスの「エッジAI」技術を採用した専用半導体が搭載された生成AIに特化したパソコンを開発したことで、「エッジAI」が急速に注目されるようになりました。
今回は、エッジAIとはそもそもなんなのか。またエッジAI関連銘柄の値動きなどについてまとめ、本命株5銘柄、出遅れ株3銘柄、その他人気の注目株などをご紹介。銘柄選定のお役に立てればと思います。
エッジAIとは?
出典:エッジAIとは – docomo business Watch
エッジAI(Edge AI)は、ネットワークの端末機器(エッジデバイス)に直接搭載したAIのこと。
AIの主流は大量のデータを集めて処理するクラウドAIに比べ、エッジAIは必要なデータのみをクラウドに送付すればよく、低コストおよび高速処理が実現されます。
インターネットに接続しなくてもスマートフォンやパソコン、自動車などの端末側で動作するため、例えば携帯電話の圏外などでも利用ができます。
エッジAIは多くの利点があるため、様々な分野での活躍が期待されます。
- 自動車(自動運転)分野
GPUやCPUなどを利用して混雑や人物、動体の情報をリアルタイムに高い精度のデータ分析を行い、衝突などの危険を未然に防ぐ判断ができるようになると期待されています。 - 工場分野
リアルタイムの判断と自動化された操作で工場のオートメーションや効率化が期待されます。 - 医療(ヘルスケア)分野
医療分野では脈拍数、血液中の酸素濃度、睡眠パターンなどの生体情報がリアルタイムで収集され、その場で健康状態が分析できることから、早期診断や適切な治療法の推奨が可能となります。 - 農業分野
気象情報、土壌状態、作物の成長状況、また土壌、気候、農作物のセンサーデータ解析や画像解析を通じて、栽培管理や病害虫の早期検出が実現できます。 - 金融分野
リアルタイムで顧客データを解析し、振り込め詐欺やその他の特殊詐欺の検出に役立ちます。 - 小売業分野
店舗内の監視カメラに映る映像データをエッジAIが瞬時に解析。また顧客の行動や店舗の状況を把握できるだけでなく、実証実験を通しマーケティング戦略の策定や在庫管理の最適化にも活用できます。 - セキュリティ分野
効率的なリアルタイムのセキュリティと監視システムを実現するため、セキュリティカメラやセンサーデータをエッジ端末上でデータ処理することにより、異常検知や防犯対策が強化されます。
エッジAI関連銘柄
エッジAI関連銘柄は、エッジAIを搭載した製品の開発や英アームホールディングスと接点があるなど、エッジAIに関わる事業を行う企業が対象となります。
コード | 銘柄名 | 時価総額(百万円) |
---|---|---|
2359 | コア | 29,194 |
3652 | ディジタルメディアプロフェッショナル | 8,196 |
3687 | フィックスターズ | 65,723 |
3694 | オプティム | 38,674 |
3778 | さくらインターネット | 182,015 |
3853 | アステリア | 9,953 |
4011 | ヘッドウォータース | 22,097 |
4055 | ティアンドエスグループ | 12,205 |
4056 | ニューラルグループ | 14,213 |
4488 | AI inside | 19,599 |
4498 | サイバートラスト | 14,772 |
4813 | ACCESS | 50,952 |
5574 | ABEJA | 27,714 |
5586 | Laboro.AI | 19,135 |
5885 | ジーデップ・アドバンス | 13,009 |
6597 | HPCシステムズ | 5,799 |
6599 | エブレン | 3,570 |
6703 | OKI | 88,613 |
6836 | ぷらっとホーム | 1,203 |
8157 | 都築電気 | 50,082 |
9432 | 日本電信電話 | 13,745,538 |
9739 | NSW | 49,468 |
9984 | ソフトバンクグループ | 15,273,250 |
※時価総額は2024/6/28時点のものとなります。
エッジAI関連銘柄 本命株 ヘッドウォータース(4011)
ヘッドウォータース(4011)はソニーセミコンダクタソリューションズ社が提供する「AITRIOS」、AI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」、マルチAIプラットフォーム「SyncLect」を連携。
エッジAIデバイスで収集した大量のデータを画像解析することで、店舗における商品管理やお客様の属性検知、設備メンテナンスを行うためのデジタルツイン、製造ラインにおける不良品検知といった様々な活用シーンで高い成果を出すことが期待でき、既に複数の顧客企業へ導入が進んでいます。
他にもNVIDIA社が提供する「NVIDIA Jetson AGX Orin」など映像解析エッジAIとも連携。積極的に活用しています。
エッジAI関連銘柄 本命株 ソフトバンクグループ(9984)
ソフトバンクグループ(9984)と言えば英アームホールディングスを保有していることで有名。
アームの上場を通じて、同社のKPIであるNAV(時価純資産)とLTV(純負債/保有株式)が改善傾向にあることも指摘されており、直接的な関連株とは言い難いかもしれませんが本命と言ってもいいかもしれません。
エッジAI関連銘柄 本命株 ジーデップ・アドバンス(5885)
ジーデップ・アドバンス(5885)はディープラーニングなどAI領域で必要なハードやソフトの開発及び販売を手掛けており、NVIDIA社のエリートパートナー企業でもあります。
中国の医療用画像AIエンジン開発スタートアップのInfervisionは、GPUアクセラレーター「NVIDIA T4 TensorコアGPU」を搭載する推論用エッジデバイス「Inference BOX」を採用しています。
エッジAI関連銘柄 本命株 フィックスターズ(3687)
フィックスターズ(3687)は2021年に、ルネサスエレクトロニクス(6723)がエッジAI開発のクラウドプラットフォーム「GENESIS DevEnv」を導入。
「GENESIS」はクラウドで完結したエッジアプリケーション向けノーコード開発プラットフォームで、2020年の段階でベータ版がリリースされています。
エッジAI関連銘柄 本命株 アイシン(7259)
トヨタ系部品大手の自動車部品メーカー、アイシン(7259)は外観や不良品を検査する目視工程にAI(人工知能)技術を搭載するエッジデバイスを導入。検査用カメラをNVIDIA製エッジデバイス「NVIDIA Jetson Xavier NX」を菱洋エレクトロの提供により開発するなど積極的に活用しています。
2024年10月には東北大学と大容量MRAMを搭載したエッジ領域向け「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」を開発し、従来比10倍以上の電力効率をシステム動作シミュレーションで確認したと発表。
この新しい半導体は、磁気抵抗メモリ(MRAM)の不揮発性と広バス帯域の特性を活用し、大容量MRAMを搭載して外付けメモリの合理的な内蔵化を図ることで、動作時および待機時電力の大幅低減、起動時間の短縮を可能にしたとしています。
出典:大容量MRAMを搭載したエッジ領域向け「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」により従来比10倍以上の電力効率をシステム動作シミュレーションで確認
RTLでのシステム動作シミュレーションの検証では、従来比で電力効率10倍以上、起動時間10分の1以下の改善効果を確認。今後は、車載やサーベイランス(監視)システムなどへの応用技術開発を進めるとしています。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環として、東北大学、NEC(6701)と共にCMOS/スピントロニクス融合技術によるAI処理半導体の設計効率化と実証およびその応用技術に関する研究開発を進めています。
エッジAI関連銘柄 出遅れ株 Laboro.AI(5586)
Laboro.AI(5586)はカスタムAI搭載カメラ「L-Vision」を販売。クライアント個社ごとに開発されるカスタムAIをカメラデバイスに搭載したビジネスソリューションとなっており、クライアントごとに最適なAIカメラソリューションとして提供しています。
このサービスに限らず顧客企業ごとに経営課題や戦略に合わせたオーダーメイドのAIサービスを開発しており、エッジAIカメラの普及拡大によっては注目が集まりやすくなりそう
エッジAI関連銘柄 出遅れ株 ティアンドエスグループ(4055)
ティアンドエスグループ(4055)はHailo社のAIビジョンプロセッサ・Hailo AIアクセラレータを用いて、エッジAIソフトウェアの開発ならびに、プロセッサのハードウェア性能を最大限に引き出したソリューション提供を行っています。
Hailo Partners Ecosystemにデザインパートナーとして参加していることもあり、これらは2024年の4月から開始されました。
エッジAI関連銘柄 出遅れ株 サイバートラスト(4498)
サイバートラスト(4498)は電子証明書発行サービスをメインとするセキュリティサービス事業を行う企業。
セキュリティ関連株として知られますが、セキュアなエッジAI環境の構築に最適なプラットフォームを提供する「EM+PLS」は「セキュアエッジAIコンピューティング」の実現を支援。エッジAIに最適化したエッジAI向けのM.2 PCIeカード「quadric dev kit」および統合開発環境「quadric SDK」を販売しています。
エッジAI関連銘柄を狙うには?
エッジAIは、今後も技術的進歩や応用範囲の拡大が期待されているため、エッジAI関連銘柄も監視しておくべきテーマのひとつと言えます。
データ処理速度の向上やアルゴリズムの最適化、センサー技術の進化などが、エッジAIの性能向上に大きく貢献するでしょうし、さらなるエッジAIの普及により、未だ活用が進んでいない分野や新たな産業への応用が加速されることが予想されます。
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証券コード | 推奨銘柄 | 配信時株価 | 高値 | 推移 |
---|---|---|---|---|
5595 | QPS研究所 | 943 | 4,975 | 3ヵ月で5.27倍 |
3778 | さくらインターネット | 2,160 | 10,980 | 2ヵ月で5.08倍 |
5586 | Laboro.AI | 686 | 2,999 | 5ヵ月で4.37倍 |
7003 | 三井E&S | 691 | 2,898 | 3ヵ月で4.19倍 |
4011 | ヘッドウォータース | 6,320 | 20,490 | 5ヵ月で3.24倍 |
2970 | グッドライフカンパニー | 1,590 | 5,090 | 6ヵ月で3.20倍 |
3744 | サイオス | 412 | 1,285 | 1ヵ月で3.11倍 |
2160 | ジーエヌアイグループ | 1,390 | 3,865 | 7ヵ月で2.78倍 |
5285 | ヤマックス | 718 | 1,985 | 7ヵ月で2.76倍 |
4107 | 伊勢化学工業 | 8,080 | 20,750 | 7ヵ月で2.56倍 |
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株は“その時々の強いテーマ株を上手く狙えるかどうか”で日々の収支が大きく違ってくるかと思いますが、世の中が大きく変わった2020年、2021年にかけてだとコロナウイルス関連銘柄(ワクチン関連株・バイオ株)や、ウィズコロナ関連銘柄(テレワーク関連株や巣ごもり消費関連株など)、そして2023年生成AIが人気化したことをきっかけとしたAI関連株全般など、上手く狙えた人と狙えなかった人とで大きく収支の差があるのではないでしょうか。
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