データセンターは生成AI(人工知能)の爆発的な普及により伸長が見込まれており、株式市場でも注目が集まっています。
このページでは、データセンターの伸長が見込まれる具体的な要因など幅広い関連情報にくわえて、注目されるべきデータセンター関連銘柄の値動きなどについてまとめ、本命株8銘柄、出遅れ株5銘柄、注目株8銘柄全21銘柄をご紹介したいと思います。
目次
データセンターをわかりやすく
データセンターは一般的にインターネット用のサーバやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称を指します。
データセンターの中には大量のサーバーがズラっと並び、ネットワーク機器が設置されていて、インターネットなど外部と接続できる高速回線、冷却装置、大容量電源など、サーバーに必要な設備ももちろん完備されています。
サーバーは熱に弱く温度が上昇してしまうと故障の原因になったり製品寿命が短くなったりするリスクが高まることから、サーバールームの空調の設計も重要で、基本的には24時間365日つけっぱなし。室内の温度を一定に保ち過度な温度の上昇を防いでいます。もちろんその他の災害やセキュリティに関する対策も充分に行われています。
データセンターを利用することで、「企業がシステム運営などで必要なサーバーを自社で管理する」必要がなくなります。自社でサーバーを管理するというのはなかなか大変で、特に自然災害の発生リスクに十分な対応ができない企業も多いのが現状。
そのような観点からも外部のデータセンターに機器を設置し、管理・運用する企業が増えています。
データセンター関連銘柄が注目される理由
データセンター関連銘柄が注目されるようになっているのは、簡潔に言ってしまえば、需要が高まっているからです。
具体的にはデータトラフィック量の増加が挙げられます。
データトラフィック量は今後ますます増加すると予想されています。これは、以下のいくつかの要因によるものです。
- インターネット利用の拡大
新興国でのインターネット利用者の増加や、既存の利用者がより多くのデバイスを使用することにより、データトラフィックが増加します。 - ビデオストリーミングの普及
ビデオストリーミングプラットフォームの普及により、高品質の動画コンテンツの需要が増え、これによってデータトラフィックが大幅に増加します。 - IoTデバイスの増加
IoTデバイスの数が増えるにつれて、これらのデバイスからのデータの送信も増加します。これには、スマートホームデバイス、センサー、医療機器などが含まれます。 - 5Gの普及
5Gの普及により、より高速なネットワーク接続が可能になり、より多くのデータがより高速に送信されることになります。
スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンは世界のモバイルデータトラフィックは6年間で3倍に増加するほか、世界の5G契約数は2029年末までに53億件を超えると予測するリポートを発表するなど、急激な増加に伴いデータセンターへの投資が急ピッチで進められています。
データセンターの建設
近年、データセンターの建設ラッシュが続いており、日経クロステックでは2024年以降に開業する主なデータセンターをまとめています。
出典:2024年以降に開業するデータセンターはこれだ、15社21施設を調査
データセンターの建設は日本経済に一定のプラス効果をもたらすと期待されており、建設のための土地を抑えるという点から不動産関連、莫大な電力を消費するため、電力量の消費低減につながる次世代半導体関連、さらに通信工事関連やサーバーの部品を手掛ける企業など、多くの分野で恩恵が期待できます。
生成AIのデータを処理するデータセンター
特に注目されているのが生成AIを開発するデータセンター。生成AIを開発するための拠点としても欠かせない存在となっています。
2024年4月には米マイクロソフトが日本でデータセンターを拡充するため2年間で29億ドル(約4400億円)を投じる事が報道されるなど、今後も大手企業が参入してくる可能性があります。
データセンター関連銘柄の本命株
データセンター関連銘柄の本命株 さくらインターネット(3778)
さくらインターネット(3778)は2023年に生成AI向けクラウドサービスを開始。経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受け、民間で初めて経済産業省から認定された、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画に基づくものとしてクラウドコンピューティングに最適化した「石狩データセンター」を使用。2024年からはデータセンターにおけるラックの施錠確認や汚損破損などの日常点検をAIで自動化するための実証実験を開始しています。
データセンター関連銘柄の本命株 ソフトバンク(9434)
ソフトバンク(9434)は北海道苫小牧市で建設する国内最大級のデータセンターを活用したデジタル人材の育成や、自動運転技術の実証実験、ワーケーションなどの推進で協力するため、北海道と包括連携協定を結んでいます。子会社でデジタルインフラ専業会社のIDCフロンティアが、地方にデータセンターの新規拠点を整備するに当たって経済産業省が一部の費用を支援する、令和5年度「データセンター地方拠点整備事業費補助金」の公募で、ソフトバンクとIDCフロンティアが整備事業者として採択され、苫小牧市に大規模な計算基盤などを整備したデータセンターを建設。50メガワット規模のデータセンターを、2026年度に開業することを目指し、最終的にはソフトバンクの次世代社会インフラ構想の要となる「Core Brain(コアブレイン)」として構築し、将来的に敷地面積が国内最大規模の70万平方メートルで、受電容量が300メガワット超まで拡大する見込みだとしています。
データセンター関連銘柄の本命株 日本電信電話(9432)
日本電信電話(9432)は本命というより王道とも言える企業ですが、2023年に28年3月期までの中期経営計画を発表し、そのなかでデータセンターの拡張と高度化に5年間で1兆5000億円以上を投資する方針を明らかにしています。
データセンター関連銘柄の本命株 NTTデータ(9613)
NTTデータ(9613)は首都圏を中心とした全国の主要都市にデータセンターを展開。全国で17拠点、床面積60万m²超の自社ビルにおいて、長年にわたるデータセンターの設計・構築・運用の実績を有しています。2022年10月にNTTグループでデータセンターなど海外事業を担うNTTリミテッドと事業統合し、海外事業を束ねるNTTデータインクを設立。データセンター事業は高い成長が見込まれる事業領域とし、27年度までに、同事業へ約1兆5000億円の投資を計画しています。
データセンター関連銘柄の本命株 インターネットイニシアティブ(3774)
インターネットイニシアティブ(3774)はデータセンターやクラウド、システム開発など幅広い事業を展開。2023年10月には千葉県白井市に「白井データセンター」2号棟の運用を開始。今後、拡大が見込まれる生成AIのデータ処理に対応できるよう、従来の最大約3倍の電力を供給できる体制を整えたとしています。
データセンター関連銘柄の本命株 SCSK(9719)
SCSK(9719)はデータセンター「netXDC」を運営。都市型データセンターが5カ所、郊外型データセンターが5カ所の全10カ所、延床面積の合計は約9万5000㎡と国内有数の規模を展開しています。2022年4月には日本電気(6701)と合弁会社SCSK NECデータセンターマネジメントを設立。DXの加速と事業成長に向け、データセンターやネットワーク領域における協業を強化しています。
データセンター関連銘柄の本命株 関西電力(9503)
関西電力(9503)は米データセンター開発事業者のサイラスワンと折半出資の新会社を設立すると発表。今後10年程度で大規模データセンター事業に1兆円以上を投資する計画を示しています。さらに2024年、京都府精華町に大容量の電子データを保存する「ハイパースケールデータセンター」の建設を計画していることが報じられ話題となりました。今後10年間で1兆円以上を投じる計画の第1弾で、今回の投資額は数百億円規模とみられる。早ければ2026年にも完成する見通しだとされています。
データセンター関連銘柄の本命株 三井不動産(8801)
三井不動産(8801)はデータセンター事業を強化することをあかして以降、シンガポールの政府系複合企業ケッペルと日本や東南アジアでのデータセンター事業で提携したり、データセンターとして開発することを目的として日野自動車の日野工場(東京都日野市)の敷地の一部を購入したりと積極的な動きを見せています。
データセンター関連銘柄の出遅れ株
データセンター関連銘柄の出遅れ株 アイネット(9600)
アイネット(9600)は自社のデータセンターを活用したビジネスを展開し、24年3月期は最高益を計画するなど業況は堅調に推移。直近では伊藤忠エネクスが開発・所有する太陽光発電所で発電した再生可能エネルギー由来電力を、アイネットのデータセンターで利用開始したと発表しています。
データセンター関連銘柄の出遅れ株 ブロードバンドタワー(3776)
ブロードバンドタワー(3776)は東京・大阪の都市型データセンターを運営。データセンター部門では新大手町サイトと関連サービスの売り上げが増加しており、関連株としては物色されやすい銘柄のひとつです。
データセンター関連銘柄の出遅れ株 シーイーシー(9692)
シーイーシー(9692)は企業の成長に必要なICT戦略の立案からシステムの設計・開発、インフラの構築、保守・運用サービスまで、最適なソリューションをワンストップで提供。実質再生エネルギー由来電力で稼働する「神奈川第一データセンター」や都市型の「東京第一・第二データセンター」などを運営しています。
データセンター関連銘柄の出遅れ株 日鉄ソリューションズ(2327)
日鉄ソリューションズ(2327)は日本製鉄グループの技術と経験を活用し、クラウド事業の中核拠点とも呼ばれる次世代型データセンター「第5データセンター」を開設。地震や浸水、液状化などのリスクが低く、都心から1時間以内でアクセスできる「三鷹」地域に建設された、最新の免震構造を持つ専用ビルになります。
データセンター関連銘柄の出遅れ株 京阪神ビルディング(8818)
京阪神ビルディング(8818)は大阪府内に8棟の都心型のデータセンタービルを保有して事業展開。日本でも数少ないデータセンター専用ビル賃貸事業者として、豊富な実績に基づく高い機能性と充実した保守管理サービスを行っています。
データセンター関連銘柄の注目株
データセンター関連銘柄の注目株 両毛システムズ(9691)
データセンター関連銘柄の注目株 さくらケーシーエス(4761)
データセンター関連銘柄の注目株 システムサポート(4396)
データセンター関連銘柄の注目株 AGS(3648)
データセンター関連銘柄の注目株 アイネス(9742)
データセンター関連銘柄の注目株 鈴与シンワート(9360)
データセンター関連銘柄の注目株 電算システムホールディングス(4072)
データセンター関連銘柄の注目株 電算(3640)
データセンター関連銘柄まとめ
データセンターの普及・拡大が株式市場でも注目されていることから、些細な報道や材料でも物色されるケースもあります。
しかし、よく注目しておくべきはその内容。単なるデータセンターの材料なのか、AI分野における材料なのか、他にも直接的ではないにせよ、不動産関連や半導体関連で向かう矛先がデータセンター関連株という形で物色される銘柄も若干異なる傾向がある特殊なテーマだと言えます。
IRや報道などの材料はよく確認しながら株価や出来高の動きを注目しておくとよさそうです。
また情報が増えてきたら定期的に更新していこうと思います。
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今回のようなテーマは、短期的な投資を目的としてリアルタイムに最新のニュースや話題性に絡んだ銘柄情報などを配信している株情報サイトで取り上げられる可能性も十分にありますので、メルマガ登録するなどして、『自分で時間をかけて色々と情報をチェックする』のではなく『アナリストなどが簡潔にまとめてくれた情報をリアルタイムに受け取る』ようにしておくといいかと思います。
特に話題性の高いテーマは物色されやすいものの、具体的な銘柄選定が難しい場合もありますので、テーマの中から個別銘柄を直接取り上げてくれる株情報サイトは非常に参考になります。
この後の相場で流れに沿ったテーマ株を上手く物色していきたいと少しでも思われる方は、試しにでも一度、銘柄情報など株式投資に関連する情報を配信しているサイトを日々のトレードに活用してみることをおすすめします。