埼玉県八潮市で2025年1月28日、県道交差点が陥没し、できた穴にトラックが転落した事故が発生。上水道管の法定耐用年数は40年と言われている中、今回の事故によって老朽化対策に注目が集まっています。
今回は下水道インフラに対する調査や老朽化した設備の更新に関わる下水道関連銘柄の中から注目の本命株、出遅れ株などの動向をまとめてご紹介いたします。
下水道管路の老朽化の現状
日本の上水道管の老朽化は、近年深刻な社会問題となっています。高度経済成長期に敷設された多くの水道管が耐用年数を超え、劣化が進行しています。
国土交通省によると、下水道管路に起因する道路陥没は減少傾向にあるものの、それでも令和4年度には約2,600件発生。ただ陥没深さ50㎝未満の規模が小さいものとしています。
上水道管の老朽化は、経年劣化によってひび割れや錆びが発生し、破損する可能性が高まることで起こります。何年も前から社会問題となっている水道管の老朽化ですが、漏水なども含めると年間約2万件発生してると言われており、住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしています。
老朽化の主な原因
- 施設の経年劣化
高度経済成長期に整備された水道管が老朽化し、耐用年数を超えて使用されているため、劣化が進行しています。 - 人口減少と水使用量の低下
人口減少に伴い水の使用量が減少し、水道事業の収益が低下しています。これにより、老朽化した水道管の補修・交換が遅れがちです。 - 人材不足
水道事業に従事する職員の高齢化と人員不足が進行し、適切な維持管理が困難になっています。
老朽化による影響
- 水質の悪化
劣化した水道管からの錆や汚染物質が水質を低下させる可能性があります。 - 漏水や断水のリスク増加
老朽化した管路の破損により、漏水や大規模な断水が発生するリスクが高まります。 - 経済的負担の増大
漏水による水道料金の増加や、修繕・更新費用の増大が自治体や住民にとって大きな負担となります。
政府の対応
- 水道法の改正
2018年12月、改正水道法が成立し、民間企業の参入を促進することで、老朽化した施設の更新や経営の効率化を図っています。 - 予算の確保
老朽化や災害対応の強化、迅速な復旧のために必要な予算を確保し、地方自治体への支援を行っています。 - 資産管理の推進
水道施設台帳の整備やアセットマネジメントの実施を推進し、計画的な施設の更新や維持管理を促進しています。
これらの対応を行ってきていますが、今回の埼玉県八潮市の事故を受け国土交通省は全国の下水道管理者に同様の箇所の緊急点検を要請しています。
下水道関連銘柄の本命株
下水道関連銘柄の本命株としてはNJS(2325)、日本鋳鉄管(5612)、日水コン(261A)、日本ヒューム(5262)、大盛工業(1844)、栗本鐵工所(5602)、オリジナル設計(4642)、ベルテクスコーポレーション(5290)などが挙げられます。
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
1844 | 大盛工業 | 都内を中心に下水道などの地中工事を手掛ける |
2325 | NJS | インフラの調査・計画、インフラマネジメント、経営コンサルティングを手掛ける |
261A | 日水コン | 上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティングを手掛ける |
4642 | オリジナル設計 | 上水道・下水道に関するコンサルタント業務を主体とする建設コンサルタント |
5262 | 日本ヒューム | 下水道向けヒューム管では業界首位 |
5290 | ベルテクスコーポレーション | コンクリート事業や水災害対策や下水道施設の耐震化など、水リスクへの対策などの防災事業を手掛ける |
5602 | 栗本鐵工所 | 鋳鉄管シェア2位の鋳鉄管メーカー |
5612 | 日本鋳鉄管 | 鋳鉄管業界3位の大手。水道管路敷設工事、場内配管工事・水道施設維持管理業務など |
下水道関連銘柄 本命株 大盛工業(1844)
大盛工業(1844)は都内を中心に下水道などの地中工事を手掛ける総合建設会社。バッテリー機関車及び管運搬接続台車を利用し、起伏のある既設管の中に、安全に短期間で新設の配管ができるピカルス工法という技術を開発し、特許を取得しています。
下水道関連銘柄 本命株 NJS(2325)
NJS(2325)はインフラの調査・計画、インフラマネジメント、経営コンサルティングを行っており、能登半島地震においても、多くの上下水道施設の被害調査と復旧設計を実施するなど、インフラの再構築に向けた調査・設計業務、災害対策業務に取り組んでいます。
下水道関連銘柄 本命株 日水コン(261A)
日水コン(261A)は上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティングを手掛けており、2024年10月に上場したばかりの企業です。耐用年数を超えた管路が増えている他、主要な管路の耐震化が遅れていることからも上場以来株価は上昇傾向にあることも注目です。
下水道関連銘柄 本命株 オリジナル設計(4642)
オリジナル設計(4642)は上水道・下水道に関するコンサルタント業務を主体とする建設コンサルタント会社。ウォーターPPPの導入機運が高まることを見込み、社内にウォーターPPP対策特別チームを設置し、受注の取り込みに注力しています。メタウォーター(9551)を代表企業とする7社で構成された企業グループに参画しています。ウォーターPPPとは、水道や下水道などの公共施設の運営を、公共団体と民間企業が長期契約で一体的に管理・更新する官民連携方式のこと。
下水道関連銘柄 本命株 日本ヒューム(5262)
日本ヒューム(5262)は社会インフラ老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取組みなどを行っており、下水道向けヒューム管では業界首位。ヒューム管とは、遠心力を利用して成型された鉄筋コンクリート管のことで、下水道や農業用水、雨水管などに使用されています。高い構造耐力を持つことが特徴で、雨水災害対策としての下水道管需要の増加に伴い、近年増加傾向にあります。
下水道関連銘柄 本命株 ベルテクスコーポレーション(5290)
ベルテクスコーポレーション(5290)は連結子会社のベルテクスがコンクリート事業や水災害対策や下水道施設の耐震化など、水リスクへの対策などの防災事業を行っており、水災害対策や下水道施設の耐震化など「防災・減災」に対し、ニーズを反映した多くの技術・製品を取り扱っています。
下水道関連銘柄 本命株 栗本鐵工所(5602)
栗本鐵工所(5602)は鋳鉄管シェア2位の鋳鉄管メーカー。直近ではダクタイル鋳鉄管の靱性や加工性を向上するための球状化処理工程において、人工知能(AI)を活用し、最適なマグネシウムの投入量を算出するシステムを構築。またグループ会社に管路の調査、診断、点検、企画、設計、施工、維持管理、更生など幅広いソリューションを提供するクリモトパイプエンジニアリングがあります。
下水道関連銘柄 本命株 日本鋳鉄管(5612)
日本鋳鉄管(5612)は鋳鉄管業界3位の大手。水道管路敷設工事、場内配管工事・水道施設維持管理業務などを行っています。2023年にはクボタ(6326)と水道管向けのダクタイル鉄管の製造合弁会社の設立。ダクタイル鉄管は延性と靭性に優れ、耐食性や耐久性に優れた金属管で、6割程度の国内シェアを持つクボタは長期的な需要増が見込めないと判断しての統合となりました。
下水道関連銘柄の出遅れ株
下水道関連銘柄は他にもたくさんありますが、出遅れ株としては単にインフラ周りに関連して紐づくような銘柄なども考慮しながら選んでみました。ここではクボタ(6326)、日特建設(1929)、メタウォーター(9551)、荏原実業(6328)、明電舎(6508)、鶴見製作所(6351)、前澤工業(6489)、カナデビア(7004)などが挙げられます。
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
1929 | 日特建設 | 基礎工事及び斜面対策工事を中心とした総合建設業 |
6326 | クボタ | 鋳鉄管業界1位の大手 |
6328 | 荏原実業 | 上下水道施設などの環境改善・衛生施設のエンジニアリング事業を手掛ける |
6351 | 鶴見製作所 | 水中ポンプの国内最大手 |
6489 | 前澤工業 | 上下水道用機械大手 |
6508 | 明電舎 | 電力や水道などの社会インフラを支える重電メーカー |
7004 | カナデビア | 環境装置、工場設備・産業機械、発電設備などを製造している機械・プラントメーカー |
9551 | メタウォーター | 上下水処理設備工事で首位級 |
下水道関連銘柄 出遅れ株 日特建設(1929)
日特建設(1929)は基礎工事及び斜面対策工事を中心とした総合建設業。既設管の内側に塩化ビニール製プロファイルを螺旋状に配し、既設管と一体化した複合管を築造するSPR工法などを手掛けています。
下水道関連銘柄 出遅れ株 クボタ(6326)
クボタ(6326)は鋳鉄管業界1位の大手。6割程度の国内シェアを持っていますが、先述の通りつクボタは国内の水道管は更新需要はあるものの、長期的な需要増が見込めないと判断して日本鋳鉄管(5612)と水道管向けのダクタイル鉄管の製造合弁会社の設立している点や、長年業界1位であることも広く知られていることから物色されにくい銘柄でもあるため、出遅れ株という形でピックアップしてみました。
下水道関連銘柄 出遅れ株 荏原実業(6328)
荏原実業(6328)は上下水道施設などの環境改善・衛生施設のエンジニアリング事業を行っており、災害停電によりマンホール内に設置されているポンプが停止した際、電動車両(EV/PHEV)・可搬型蓄電池で応急起動し、マンホールからの溢水を未然に防ぐ、停電時マンホールポンプ起動支援システムも展開しています。
下水道関連銘柄 出遅れ株 鶴見製作所(6351)
鶴見製作所(6351)は水中ポンプの国内最大手。水流発生装置や曝気・撹拌装置、汚泥脱水装置などを開発し、汚水の集水設備でも、高性能の小型ポンプに制御システムを組み合わせた小規模マンホールポンプシステムを開発しています。
下水道関連銘柄 出遅れ株 前澤工業(6489)
前澤工業(6489)は上下水道用機械大手。浄水・下水処理機の製造などを手がけており、子会社の前澤エンジニアリングサービスは下水道機械装置として、ポンプ場や下水処理場の沈砂池機械設備、水処理機械設備、高度処理機械設備、汚泥処理機械設備、排水機場設備、集落排水処理設備などについての調査、点検、整備、改修工事、製品販売等をおこない機能の保全に積極的に取り組んでいます。
下水道関連銘柄 出遅れ株 明電舎(6508)
明電舎(6508)は電力や水道などの社会インフラを支える重電メーカー。変電設備や再生可能エネルギー設備などを展開しており、上下水道の水処理関連設備の制御システムに強みを持っています。またグループ会社の明電ファシリティサービスでは上・下水道施設、工業用水施設等における設備の運転及び維持管理業務なども行っています。
下水道関連銘柄 出遅れ株 カナデビア(7004)
カナデビア(7004)は環境装置、工場設備・産業機械、発電設備などを製造している機械・プラントメーカー。上水・下水・産業排水処理システムを手掛けており、下水汚泥消化ガスのEx-situ型バイオメタネーション反応技術に関する調査事業なども行っています。
下水道関連銘柄 出遅れ株 メタウォーター(9551)
メタウォーター(9551)は浄水場・下水処理場・ごみ処理施設向け設備などの設計・建設、各種機器類の設計・製造・販売、補修工事、運転管理などの各種サービスを手掛けています。上下水道プラントの機械・電気設備の納入実績を活かして、官民連携(PPP)事業を伸長分野として積極的に展開しています。
大化けが期待できる下水道関連株を掴むためには?
ここまで、下水道関連株が注目される理由や下水道管路の老朽化の現状、株価上昇が望める下水道関連銘柄などをご紹介してきました。
数多くある下水道関連株の中から急騰する銘柄を選び取るには、時間をかけて分析する必要があるため、「普段は仕事や家事で忙しく、そんな時間が無い」という方も多いのではないでしょうか?
最新情報を日々チェックしていく自信がない方や、下水道株を上手く物色できる自信がないという方も多いかと思いますが、そうした方は旬なテーマ株情報などをリアルタイムに配信してきている株情報を上手く活用してみるといいかと思います。
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