日本銀行「黒田東彦」総裁が発表した日銀砲(金融緩和)の歴史とコロナショック

2020年3月16日、3年半ぶりに追加の金融緩和「ETF買い支え年12兆円」などが発表となりました。

日本銀行の「黒田東彦」総裁は安倍政権下でこれまで何度も日銀砲(金融緩和)を発表してきていますが、コロナウイルス感染症の拡大で相場が大きく崩れ、日銀の金融緩和発表後も安値を更新してきていますね。

厳しい相場展開となっていますが、過去の歴史を手掛かりとできるよう、当ページでは日銀が発表した追加緩和の内容を受け相場がどう動いたかなどについてまとめていきたいと思います。

日銀(日本銀行)とは?

まず日銀(日本銀行)とはについて少し書いておきたいと思いますが、日本銀行は日本の中央銀行で、日本銀行法に基づく財務省所管の認可法人です。

日本でお札(紙幣)を発行できるのは日本銀行だけで、日本政府が国民から集めた税金や国債のお金を預かり、公共事業に使うお金や公務員への給料などを出しています。

国債の発行や外国為替の決済処理や「銀行の銀行」という役割なども行っていますが、分かりやすく言うと“国の大切なお金を管理している”って感じでしょうか。

「にほんぎんこう」と呼ばれたりもしますが、日本銀行券のローマ字表記は「NIPPON GINKO」となっており、日本銀行の読みは「にっぽんぎんこう」と呼ぶ事とされています。

日本銀行は証券コード8301で東証JASDAQ市場に上場しており、「日銀って上場してたんだ」「会社じゃないのになんで上場してるんだろ?」などと思われた人もいるかと思いますが、日本銀行は設立された明治時代、1882年に民間からも出資を募った経緯があるようです。

日本銀行が上場しているのは“日本政府からの独立性を明確にするため”と言われていますが、日本銀行は上場しているので市場で資金を集めることも可能です。

なので日銀はもし債務超過に陥ることがあっても、増資を行い日本政府に引き受けてもらうということも出来そうな感じでしょうか。

日本銀行の資本金は1億円となってますが、資本金が1億円なのは日銀法8条で資本金は1億円と想定されているからのようです。

日本銀行は公的資本と民間資本により存立していますが、日本銀行法により日本政府の保有割合が55%を下回ってはいけないことになっています。

株主総会のようなものはなく、出資者は経営に関与できず、もし日銀が解散を決議しても、残余財産の分配は出資者にはなく、日本銀行法第9章の第60条2項により“すべての財産は国に帰属する”こととなっています。

資本金の出資者には株式ではなく「出資証券」が発行され、JASDAQ市場における取引の1単元は100口となっています。

日本銀行の出資証券とは?

日本銀行に対する出資の持ち分を表す有価証券のこと。日本銀行は日本銀行法第9条に基づき出資証券を発行している。

また、出資者に対する配当率の決定には財務大臣の認可が必要で、日本銀行法第53条第4項により配当率は年5%以内に制限されています。

一般投資家が投資する旨味はほとんどなく、誰が買うのだろうというレベルですが、民主党政権が総辞職した2012年12月や、統一地方選があった2015年4月などに買われてきてる感じでしょうか。

そして、日本銀行の役割として「通貨及び金融の調節を行うこと」つまり“景気の調節をする”というのもあります。

日銀の黒田東彦総裁が会合で発表する金融緩和は個人投資家から“黒田バズーカ”と呼ばれてきてますが、日銀が発表する金融緩和はその影響力の大きさから国際的に多大な注目を集めてきています。

第31代日本銀行総裁「黒田東彦」の目標

日銀の黒田総裁は長年にわたり日本銀行を批判してきた人ですが、安倍内閣で2013年に指名され第31代日本銀行総裁に就任されました。

15年にわたる日本のデフレーション(物価が下落していく経済現象)について“責務は日銀にある”と名言しており、“2%の物価上昇”を目標とし取り組んできていますが、達成の目処は立っていません。

日銀黒田総裁はなぜ2%の物価上昇を目標としているのか?

消費者からすれば物価が上がると生活が苦しくなるという印象があるかもしれませんが、日銀が目標とする2%物価が上昇した経済状態というのは、企業の業績が良くなり、会社員の給料も上がり、モノも売れて物価も上昇するというイメージで捉えるといいかと思います。

モノが値下がりし、企業の業績が悪化し、会社員の給料が下がるという流れを改善すべく、日銀はインフレ目標2%を掲げています。

黒田東彦日銀総裁はリフレーション政策(物価水準を正常化させ景気を良くしようとする政策)を重視する所謂リフレ派の一人とされてますが、景気回復を遅らせてしまう印象のある消費税増税については一貫して賛成の意向を示してきています。

黒田総裁は東京大学法学部卒業で、大学在学中に旧司法試験に合格しているようなとても頭のいい人ですが、リフレ派で「天才」「秀才」と呼ばれるような人でも賛成するということは、それだけ消費税増税は行わなければいけない政策だったってことなんでしょうかね。

黒田総裁は物価について“中長期的には金融政策が大きく影響を与える”と話していて、金融政策のみで物価目標達成は可能という見方を示してきていますが、株式の購入は物価への波及効果が見えづらく、その恩恵は上場企業や富裕層に偏るとされています。

上場企業や富裕層にお金をバラまいた結果、一般市民の生活がより苦しくなったということにならないようにしてほしいものですね。

日銀の黒田総裁は物価上昇を実現する経路として、“期待物価上昇率が上がり、実質金利が下がり、企業が手元流動性を取り崩し、株高により資産効果で企業の設備投資や消費にプラスの影響を与える”と説明し、量的緩和の拡大が人々の期待物価上昇率を引き上げる経路であることを強調してきていますが、コロナショックにより相場が大きく崩れ日銀が含み損を抱えることになってしまったのを見ると、結果論としてリスクが高い政策だったとされてもしょうがない感じになってくるかもしれませんね。

黒田日銀が発表した主な日銀砲(金融緩和)

黒田日銀が安倍政権下で発表した主な日銀砲(金融緩和)
時期 発表内容
2013年4月 「量的・質的金融緩和」の導入について発表。
2016年1月 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を発表。
2016年9月 金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表。
2020年3月 「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について」を発表。

2020年3月16日、新型コロナウイルス感染症拡大により相場が崩れ、日銀は3年半ぶりとなる追加の金融緩和を発表しましたが、安倍政権下で印象に残る日銀砲(黒田バズーカ)と言えば2013年4月4日に発表となった金融緩和「量的・質的金融緩和の導入」でしょうか。

2013年に日銀総裁黒田東彦が発表した金融政策

2013年4月4日、日本銀行は消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すべく、「量的・質的金融緩和の導入」を発表。

マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行うというものでしたが、ETF、J-REITの保有残高を、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこととなどが発表となりました。

マネタリーベースとは?

「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のこと。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値のこと。

日経平均株価は2012年12月26日に第2次安倍内閣が発足してからアベノミクス相場となり大きく上げることとなりましたが、日銀砲発表で2013年4月は1ヵ月で1,489.52円もの上昇となりました。

【日銀砲】追加金融緩和「ETF買い支え年12兆円」発表も株価は16,500円台へ

日本銀行は2020年3月16日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、金融緩和の強化について発表しました。

  • 1.国債買入れやドルオペを含む一層潤沢な資金供給の実施。
  • 2.新たなオペレーションの導入を含めた企業金融支援のための措置。
  • 3.ETF・J-REITの積極的な買入れ。

日本銀行は、新型コロナウイルス感染症拡大による情勢を踏まえ、企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点から金融緩和を強化することが適切と判断し、ETFおよびJ-REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限とし積極的な買い入れを行うことを発表しました。

日本銀行は発表した金融緩和措置が、新型コロナウイルス感染症拡大への政府の各種対策や各国の政府・中央銀行による様々な対応と相俟って、金融経済活動の下支えに貢献するものと考えているとしていますが、日経平均株価は発表を受け一時300円以上の上昇となるも、終値は前営業日比-429.01円(-2.46%)と下げ取引終了。

発表翌日3月17日はギャップダウンで始まるも前日比+9.49円(+0.06%)と小幅ながら反発し取引を終えましたが、3月18日、前場で上げるも後場大引けにかけ大きく崩れ、終値ベースで3年4ヵ月ぶりに1万7,000円を大きく割り前日比-289.98円(-1.68%)となる16,726.55円で取引終了。

更に3月19日は日銀がETFを2,004億円買い入れるも前日比-173.72円(-1.04%)と続落し16,552.83円で取引終了。

日経平均株価チャート0319

日銀はわざわざ日程を前倒しし3年半ぶりとなる追加の金融緩和を発表しましたが、ETF買い入れ額を6兆円から一気に倍額となる12兆円に拡大しても下落を止めれていないのは、やはり新型コロナウイルス感染症により止まってしまっている経済と人の流れが動き出してこないと投資家の慎重姿勢はなかなか前向きになってこなそうな印象ですね。

リーマンショック時はお金の流れによる問題だったので金融政策で景気回復を図れましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は金融政策を行っても経済と人の流れが止まってしまっているので、入国制限、国境封鎖やイベント規制、営業規制などが解消されてこなければって感じでしょうか。

黒田東彦日銀総裁:含み損「2兆円~3兆円」と試算

日銀が大量に保有するETF(上場投資信託)の損益分岐点は日経平均ベースで「1万9500円程度」と見られてますが、2020年3月18日午前の参院財政金融委員会にて、日銀の黒田東彦総裁が含み損に関して「2兆円~3兆円」に達しているとの試算を示しています。

日経平均株価は17,000円を割り日銀の損益分岐点から3,000円ほどの下落となっていますが、3月17日にETFを1,204億円買い入れ、3月19日に2,004億円買い入れているのを見ると、日銀の含み損が更に拡大していくのではと不安になりますね。

日銀は「物価の安定」と「金融システムの安定」を目的としデフレマインド脱却に向け取り組んできていますが、直近の価格変動を受け財務の健全性が大きく損なわれたことで債務超過に陥るのではないかと言われてきていますね。

2019年3月の法定準備金3兆2226億円に、民間企業の最終利益に当たる当期剰余金5869億円を合計すると3兆8095億円となります。

日銀は債務超過となっても民間企業のように倒産することはありませんが、含み損が拡大し債務超過となるのを防ぐために日銀は買い入れ額を拡大せざるを得なかった感じでしょうか。

日銀が買い入れていなかったらより下落していたのかと思うと、本当にコロナショックは恐ろしい相場ですね。

コロナショックで退場となってしまった個人投資家も多いのではないかと思いますが、4月は外国人投資家が19年連続で買い越してきているので、どうにか相場が落ち着くまで乗り切り、慎重に優良株に投資していくようにしたいですね。

しかしながら、コロナショックで何百万、何千万という含み損を抱えることになられた人も多いかと思いますが、“空売りやダブルインバースやVIX短期先物指数(ETF)で儲かった”という投資家も多いのではないでしょうか。

今の相場の乱高下で株情報サイトは新規顧問契約が殺到しているようですが、プロは腕の見せどころですね。

ラジオNIKKEI第1の株式情報番組「株教室」でコメンテーターをしている「高山緑星」こと「前池英樹」が代表を務めている「新生ジャパン投資」は空売り推奨も行っている株情報サイトですが、配信情報を見ていた人は直近の下げで大きく利益を得ることが出来たのではないでしょうか。

新生ジャパン投資の空売り推奨銘柄
証券コード 推奨銘柄 売り推奨日/推奨時株価 安値日/安値
9107 川崎汽船 1月08日/1,696 3月19日/714
5202 日本板硝子 2月05日/596 3月13日/286
2910 ロック・フィールド 2月06日/1,497 3月13日/1,040
6200 インソース 2月19日/3,010 3月19日/1,600
4346 ネクシイーズグループ 2月19日/1,571 3月13日/850
5384 フジミインコーポレーテッド 3月04日/2,670 3月17日/2,053

買いしかされていない人には厳しい相場かもしれませんが、空売りで入られた方は爆益を得られたのではないでしょうか。

相場の見通しに不安を感じる方は、銘柄相談を無料ででき、「世界マーケット動向」「国内マーケット展望」「マーケットスケジュール」「本日の無料推奨銘柄」「東京株式市場おさらい」「本日注目銘柄の真相」「注目のディーリング銘柄」「マーケットアイズ」「今夜の世界マーケット」などの情報提供を無料で受けれる「新生ジャパン投資」が本当にオススメです。

新生ジャパンの提供情報

上記画像は「新生ジャパン投資」から配信された情報の一部内容ですが、日々チェックしておきたい情報をまとめて配信してくれるので、今後の見通しを立て相場の流れに沿った取引を行っていきたい人にはとても役立つ株情報サイトだと思います。

新生ジャパン投資の代表を務めている前池英樹氏は、ラジオNIKKEI第1の番組「株教室」で高山緑星としてラジオパーソナリティをされてますが、2020年3月3日の放送で、3月3日夜のNYダウの大幅下落をしっかりと予想し的中されています。

3月3日夜のNYダウの動きは緊急利下げしたのになぜ下げるの?と思われた方も多かったのではないでしょうか。

素人判断でトレードするのはリスクが高い相場だと思うので、今後の見通し予想が分からないという方は、相場歴の長いプロの見解を参照しておくのがベターだと思います。

コロナショックで多くの銘柄が株価を下げ、相場は大バーゲンセールの様相を強めてきているとも言えると思います。

この後の相場に上手く乗れるかどうかが資金を大きく増やすチャンスとなるかもしれないので、利益に繋がる銘柄を知り、チャンスを逃さずしっかりと資産を形成していきたいと思われる方は、試しにでも相場のプロが配信する情報を上手く活用してみて下さい。

投資顧問・株情報サイト【新生ジャパン投資】