ダイヤモンド半導体は高周波で大電流のパワー半導体を実現する重要技術で、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなど次世代パワーエレクトロニクス分野で実用化が期待されています。
株式市場でも大きな関心が続いており、関連企業はダイヤモンド半導体関連銘柄として分類され始め、ダイヤモンド関連株と共に物色される傾向にあります。
今回は特に物色されたダイヤモンド半導体関連銘柄の値動きなどについてまとめ、他にも合わせて物色されるケースもある、ダイヤモンド工具を取り扱う企業やジュエリー関連株としても含まれるダイヤモンド関連株も併せてご紹介していこうと思います。
目次
ダイヤモンド半導体とは?
ダイヤモンド半導体は、合成ダイヤモンドを使用した半導体のこと。
これまで、実用化は技術的に実現不可能と思われてきました。
しかし近年、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業などで高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が大いに発展してきたことにより、実用化の可能性が開かれてきています。
これに伴い、次世代の半導体候補として国家レベルの研究開発が開始するなど、この分野の研究が日本国内で活発となってきており、日本国外でも研究開発が積極化しつつあります。
通信の大容量化に伴い、半導体電子デバイスの高周波数化と高出力化が求められている中、2003年にNTT物性科学基礎研究所がドイツのウルム大学と共同で高純度低欠陥ダイヤモンド結晶を使ったダイヤモンド半導体素子の作製に成功し、動作周波数としては世界最高の81GHzを達成。
その後も研究は進みましたが、2021年に入り国立大学法人佐賀大学は、アダマンド並木精密宝石株式会社と共同で、新動作原理に基づく次世代のパワー半導体のダイヤモンド半導体デバイスを作製し、世界最高水準の出力電圧および電力を得ることに成功。2022年5月には2インチ基板を用いて世界最高の出力電力875MW/cm²、高電圧2568Vを達成したデバイスを開発しています。
実用化に向けて動き始めたダイヤモンド半導体
ダイヤモンド半導体は既存のシリコンはもちろん、次世代材料といわれる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を使った半導体と比べ省エネルギー効果や耐久性に優れており、その性能の高さから「究極の半導体」とも呼ばれています。
ダイヤモンド半導体のパワーデバイスの利用先としては、通信の6G環境構築、航空・宇宙分野、量子コンピュータをはじめ、電気自動車(EV)の制御用パワー半導体、大型の発電施設、たとえば大型洋上風力発電の送電用パワー半導体にも用途が広がると言われています。
2023年2月には奈良先端科学技術大学院大学と大阪大学、台湾成功大学と共同で、ダイヤモンドとアルミナ絶縁膜の間に形成される電気的な欠陥の立体原子配列を解明したと発表し、これがダイヤモンド半導体の実用化につながると期待されています。
ダイヤモンドに電気を通す方法として、表面を水素にさらすことで電気伝導層を形成する手法が研究されていましたが、ダイヤモンド表面に伝導層を保護するための絶縁膜を形成する際、絶縁膜とダイヤモンドの間に電気的な欠陥が形成され、デバイスの性能を下げてしまうという課題がありました。
絶縁膜の形成にはアルミナなどが研究されており、原料ガスとして一般的にTMA(C3H9Al)が用いられますが、今回の研究ではDMAH(Al(CH3)2H)を使ったところ、従来よりも大きく欠陥を低減させることに成功。そのうえで、研究グループは欠陥の原子配列の解明を試みると、SPring-8の明るいX線と新型装置での高精度な測定によって、欠陥を構成する原子からの微弱な信号を捉え、光電子ホログラフィーの撮影に成功。この光電子ホログラフィーをもとに研究グループは立体原子像を得ることに成功。水素にさらされたダイヤモンドの表面の一部は、C-O-Al-O-Cの橋が架かるような構造になっていることを突き止め、この手法を用いて欠陥量の異なる2種類のダイヤモンドサンプルから欠陥の原子配列を解明しました。
出典:ダイヤモンド半導体における電気的欠陥の立体原子配列を解明 近畿大など研究グループ
他にもベンチャー企業のパワーダイヤモンドシステムズはダイヤモンド半導体デバイスの研究開発を行うために2022年に設立され、2025年ごろに試作デバイスを作製し、性能評価を始める予定で研究開発が進められています。
基板の大型化とデバイス性能の向上が著しく、宇宙・軍事用途、ひいては車載や電動航空機などの民生用途で期待が高まっており、早ければ2030年に普及が開始されるのではと言われています。
パワーダイヤモンドシステムズは2023年12月に早稲田大学の川原田洋教授と共に、ダイヤモンド半導体で安全性の高いノーマリーオフ動作するトランジスタ(MOSFET)を共同で開発したと発表。MOSFETのゲート電極など、ダイヤモンド表面を酸化ケイ素薄膜で絶縁する。このダイヤモンドと酸化ケイ素の界面を、炭素―ケイ素―酸素の順番で結合させ界面を作ることに成功。炭化ケイ素の製造技術を利用でき量産性が見込め、今後はパワー半導体として量産性を追求していくとしています。
佐賀大学が世界初、人工ダイヤで半導体回路を開発
2023年4月17日、佐賀大学理工学部の嘉数誠教授は、ダイヤモンドのパワー半導体を使い、世界で初めて電子回路を開発したと発表。半導体の基本動作であるオンとオフを高速で繰り返すスイッチングができ、190時間の長時間連続動作でも劣化が見られなかったそう。実用化を目指して企業との共同研究を検討するとしています。
ダイヤモンド半導体関連銘柄が活況
究極のパワー半導体とされるダイヤモンド半導体はここ数年の研究成果や話題性もあることからダイヤモンド半導体関連銘柄が物色されやすくなっており、今後さらに注目が続きそう。既に多くの銘柄が動きを見せているので、いくつかピックアップしてご紹介します。
ダイヤモンド半導体関連株4銘柄
ダイヤモンド半導体関連銘柄 イーディーピー(7794)
イーディーピー(7794)は人工的に作り出す合成ダイヤモンドの元となる「単結晶ダイヤモンド」を製造販売を行っている会社で、厳密に言えば現時点では唯一のダイヤモンド半導体関連銘柄だと言えます。イオン注入を用いた分離技術、単結晶をつなぎ合わせて1枚の大型基板とするモザイク結晶などの技術によって大型の板状ダイヤモンドの大量生産を実現しており、ダイヤモンド半導体の基板や工具用素材などに向けても展開しています。
ダイヤモンド半導体関連銘柄 ジェイテックコーポレーション(3446)
ジェイテックコーポレーション(3446)は半導体材料表面先端加工機器の開発を行っており、プラズマ援用研磨法(PAP)は独自の研磨方法で、20mm角という世界最大クラスのモザイク単結晶ダイヤモンド基板を高能率かつ損傷を与えずに研磨することに成功しています。PAPは大阪大学の独自研磨技術であり、次世代半導体材料であるSiCやGaN基板、そして単結晶ダイヤモンド基板を高速かつ高精度に平坦化できるため注目されており、今後も量産化へと展開するとしています。
出典:機器開発事業 | 株式会社ジェイテックコーポレーション
ダイヤモンド半導体関連銘柄 旭ダイヤモンド工業(6140)
旭ダイヤモンド工業(6140)はダイヤモンド工具の総合メーカー。ダイヤモンド半導体に直接関わるかと言われれば難しいところですが半導体材料の加工に使う各種製品を手掛け、化合物半導体向けにも展開しているため、ダイヤモンド半導体関連株が物色された際に思惑が向かいやすい銘柄です。
ダイヤモンド半導体関連銘柄 本命株 住石ホールディングス(1514)
住石ホールディングス(1514)は子会社のダイヤマテリアルが工業用人工多結晶ダイヤモンドの製造、仕入及び販売を行っており、多結晶ダイヤモンド市場では、世界トップクラスの生産・販売量を誇っています。
合わせて注目!ダイヤモンド関連株
ダイヤモンド半導体に関わる材料が出た際には上記銘柄が物色されやすくなりますが、他にもダイヤモンド工具を取り扱う企業や純粋に「ダイヤモンド関連株」として物色されるケースもありますので、合わせてご紹介いたします。
ダイヤモンド工具関連銘柄 第一カッター興業(1716)
ダイヤモンド工具関連銘柄 Cominix(3173)
ダイヤモンド工具関連銘柄 ノリタケカンパニーリミテド(5331)
ダイヤモンド工具関連銘柄 天龍製鋸(5945)
ダイヤモンド工具関連銘柄 ロブテックス(5969)
ダイヤモンド工具関連銘柄 兼房(5984)
ダイヤモンド工具関連銘柄 ディスコ(6146)
ダイヤモンド工具関連銘柄 中村超硬(6166)
ダイヤモンド工具関連銘柄 東京精密(7729)
ダイヤモンド工具関連銘柄 コンセック(9895)
ダイヤモンド投資関連銘柄 Shinwa Wise Holdings(2437)
ダイヤモンド関連銘柄 クロスフォー(7810)
ダイヤモンド関連銘柄 ナガホリ(8139)
ダイヤモンド関連銘柄 NEW ART HOLDINGS(7638)
ダイヤモンド関連銘柄 ベリテ(9904)
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イーディーピー(7794)をオンリーワン的ダイヤモンド半導体として紹介し続けたのが『新生ジャパン投資』です。
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上記は2023年1月10日に「本日の無料推奨銘柄」で紹介されていた内容です。株価は株式分割前の価格ですが、2月8日には高値30,250円(分割後株価で6,050円)をつけており、60%近くの上昇となりました。しかし最初に配信されたのが2022年7月13日で、この時から数えると株価3倍近くの上昇を見せています。
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『新生ジャパン投資』はラジオNIKKEI第1で放送されていた株式情報番組「源太緑星株教室」(※現在は放送終了)でコメンテーターをしていた高山緑星(本名:前池英樹)氏が代表を務めている株情報サイトですが、市場営業日に旬な銘柄情報やマーケット展望に関する情報などを配信してくれます。
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『新生ジャパン投資』では毎朝(市場営業日)の【朝刊】の中で必ず1銘柄を無料推奨銘柄として提供しているので、株用のメールアドレスを作成し登録しておくと情報収集や銘柄選びにとても役立つと思います。
ダイヤモンド半導体関連銘柄はまだまだ注目余地あり
ダイヤモンド半導体の実用化には半導体材料として量産し、様々な分野に応用していくにはまだ不十分なこともあって長い道のりが必要なことは否めませんが、ここ数年で行われる研究・開発の材料によってダイヤモンド半導体関連銘柄はまだまだ注目のテーマだと言えます。
今後も『半導体関連株』、『次世代パワー半導体関連株』同様注目し、不定期ながらも更新していこうと思います。